332.5.年上(2)

ティーカップの指がトキオの先端に触れて、溢れるぬめりを塗り伸ばすように、ゆるゆると撫でる。
「っ、」
喉で声を押しとどめたものの、滑りのよくなった指が幹を擦りはじめて、
「あっぅ」
トキオは歯を食いしばった。
-指だけで、っなんでだよ…
もう、気を抜くとはじけてしまいそうな程、張り詰めている。
親指が先端に触れて、裏筋へと滑った。
「っ、ちょ、まっ、…」
トキオは眉を顰めて、ティーカップの肩を掴んだ。
「うん?」
ティーカップは指を止めない。
「も、…やっ、…ばい」
トキオの耳元に、笑いを漏らすような吐息がかかった。
「ぃっ、いっつもこんな早く、ないっんっ…」
言い訳している間にも動き続ける指に翻弄されて、力の入ったトキオの足がシーツを掴む。
「っ、まっ、」
ぬめりを帯びた柔らかい指が、ニュルニュルと絡み続ける。
トキオは腰を引こうとしたが、逃げられるほど身体が動かせない。
「待て、待って、やめ」
それでも無駄にもがくと、予想外の刺激が加わってしまった。
「っぁ、!!!」
*
「…はぁ、…ふ…」
呼吸を整えながら、トキオは胸まで散っている飛沫を見た。
ティーカップは横に移動して、トキオの頭を抱きなおした。
右掌が、なだめるようにトキオの頭を撫でている。

息が落ち着いてから、トキオはティーカップを見上げた。
「…お前は…?」
「ん?」
「…だって、俺だけイって、…」
何事もなかったかのようなティーカップの顔を見て、トキオは小声になった。
「もしかして…勃ってねえの?」
ティーカップは息だけで笑ってから、言った。
「触ってみろ」
「…」
トキオが少し緊張しながらパジャマごしに触れてみると、そこは固く、熱を持っていた。
「僕はこれぐらいでも抑えがきくんだ。違いがわかったか?」
「…うん」
トキオは素直に頷いた。もし自分がこんな状態なら、押し倒して最後まで突っ走っている。
「…さて」
ティーカップは身体を起こした。
「君じゃないが、トイレに行って来る」
「え?」
「流石にこのまま寝るのは難しい」
「あ、あの、んじゃ、今度は俺が、」
トキオが起きようとすると、
「君は、"もっと色々したくなる"んだろう?」
ティーカップはベッドを降りて、バスルームの方へ歩いて行った。

-出したばっかだから、大丈夫だと思うんだけどなー。
ベッドに腰掛けたトキオは、
「あ」
慌てて近くのテーブルの上にあったタオルを取って、腹を押さえた。臍周りに溜まっていたものが、垂れ落ちてきたのだ。
-うわ、すっげえ量…
タオルに付いたものをまじまじと観察した後、ベッドに零していないか確認してから、トキオは座りなおした。
-後でタオル洗うついでに、シャワーも浴びるか…
この部屋のトイレとバスルームは同じ室内になっているから、今は入れない。
-…どんな風に抜いてんのかな…
想像すると、また固くなってきた。
-出したばっかでもダメか。
トキオは股間にタオルを置いて、息をついた。

ぼんやりと、先程までの行為を思い出しているうちに、
-…あれ?
ふと気付いた。
-…もしかして、俺がやられる側?
トキオは腕を組んで、考え込んだ。
-…え、でも、ずっと前にそういう気は全然ねえって感じのこと、言ってた気がする…、いや、今は付き合ってっから違うのかな…、…どうなんだろ…
ティーカップが戻ってくるのを待つ間、トキオの頭ではその疑問がぐるぐると回り続けていた。

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