275+.交換条件(3)

服を脱いだバベルは、ベッドに上がってカイルの腹に馬乗りになり、タイでカイルに目隠しをした。
「…」
カイルはもう何も言わなかった。怒りを静かにかみ殺し、胸で大きく息をしている。
バベルはカイルの足を広げてその間に膝をつくと、カイルの身体を眺めた。
後衛職らしいシルエットだが細すぎるわけではなく、ほどよく筋肉もついていて引き締まっている。一番好みの体型だ。
バベルにとって、相手が近親であることは特にタブーではない。遠慮なく堪能するつもりで、白い喉に唇を当てた。

首筋から鎖骨をゆっくり滑るように舐め、色の薄い乳首に舌をのばすと、カイルの腕が跳ねた。
舌で弄ぶと、すぐに硬く尖ってきた。そのまま唇と舌で転がしながら、バベルはもう片方の乳首に左手を伸ばした。
まだ柔らかい乳頭を人差し指で擦り、残った指で胸板を掻く。指に粒の感触が伝わり始めた。人差し指と親指で挟んでそれを擦ると、
「うっ…」
と、小さな声があがった。
カイルは奥歯を食いしめた。
予想外の状況で感情が波立ってしまったせいか、触れられるだけで簡単に身体が反応してしまう。
あるいは、相手がバベルであることも原因かも知れない。

バベルは唇と指を入れ替えて、乳首と腋のラインを繰り返し刺激した。
腕や脚が何度も跳ねたが、カイルは二度と声を出さないように、強く唇を結んでいる。
「我慢しなくていいのに」
耳元でバベルが囁く。答えずに顔をそむけると、無防備な耳にバベルの舌が差し込まれ、カイルは叫びそうになった。

バベルはそのまま舌を滑らせて首筋にキスを繰り返す。右手では乳首を弄り、左手を股間へ伸ばした。
熱くなっているそこを撫でまわし、露の滲む先端に指を滑らせる。カイルは強く首を振った。
バベルは閉じようとするカイルの腿を広げ、露になった秘所を視姦した。
こういうことに興味がなかっただけのことはあって、どこも綺麗な色をしている。
掌で下から陰嚢を包み、戸渡りを指でくすぐってやる。カイルは体を捻って逃れようとしたが、バベルはカイルの腿を押さえて体を開きなおし、周囲を見回した。
「ローションならそれだ」
2人の様子を楽しんでいたジョイが、サイドボードの上の瓶を指した。

バベルは瓶を取り、ローションをたっぷりと指に絡ませた。
脚を開いて持ち上げ、腰を少し上向きにする。閉じられている孔にローションのついた指をあててくすぐる。
-固いな。
掌にローションを伸ばして、バベルはカイルのペニスを優しく握った。ヌルヌルと動かすたび、カイルの腹筋が緊張と弛緩を繰り返す。
バベルは左手でペニスを撫でながら、右手では秘孔を刺激し続けた。身体が弛緩する毎に、指が入り込んでいく。
カイルが詰めていた息を吐いた瞬間、中指の第二関節までがニュルッと入り込んだ。
「っは…」
反射的に、声が漏れた。バベルはそのまま指を埋め込み、入り口を広げるように付け根をゆっくり回し始めた。カイルの身体がまた緊張して、指を締め付ける。
「力を入れてると終わらないぞ」
言いながら、バベルはカイルのペニスをゆっくりと撫でた。
カイルが身体を緩めようとするのと、刺激への反応で締め付けることが交互に続いて、孔の動きがひくひくと断続的にバベルの指に伝わる。
緩やかな指のピストンと共に大量のローションを塗りこみ、指の数を増やす。
時間をかけて、そこがようやく三本の指を受け入れるようになると、バベルは自身にローションを塗り、カイルに先端を当てた。

顔をそむけ、肩で息をしているカイルの頬にキスをすると、バベルは一気に押し入った。
引き裂かれるような衝撃に、カイルが仰け反る。
逃げる肩を押さえ、そのまま根元まで埋め込んで、バベルはカイルを抱き締めた。
無防備に開いている口に舌を差し込み、口腔内を蹂躙しながら、目隠しのタイを取る。
眉を寄せ、薄く開けてバベルを睨む目には、明らかに負の感情が見て取れた。
-嫌われたかな。
バベルはキスを続けながら、カイルのペニスへ手を伸ばした。
痛みのためか、硬さを失っているそれを包み込むように撫でる。
徐々に屹立する感触が掌に伝わってきたところでバベルはやっと唇を離し、ゆっくりと腰を使い始めた。
狭い道を広げ擦られる痛みに、カイルが目を閉じ歯を食いしめる。身体に力が入って、尚更道が狭くなる。
-…そんな気はしてたけど、本当に初めてか。
バベルは緩やかに短いストロークを繰り返す。
-今回はあまり楽しませてやれないかな。
一度注ぎ込んでやれば後は簡単なのだが、ジョイが待っている。
-残念だけど、美味しいとこはジョイにやるか。
バベルはカイルに頬を寄せ、囁いた。
「力を抜け」
思い出したようにカイルの身体の緊張が徐々に解け、下半身でそれを感じ取ると、バベルは強く突き上げた。
「っぁ!!!!」
突然の痛みに、カイルの喉から声が出る。バベルはカイルの腰を両手で掴み、激しく突き続けた。
*
「そろそろいいかな」
服を着終えたバベルは、ベッドのカイルを一瞥して、ジョイに言った。
バベルの精を漏らさないように栓をされたカイルは、誰にも触れられてもいないのに昂ぶらせたペニスから透明の液を止め処なく垂らし、行き所のない欲求に上気した身体を時折捩って、焦点の合わない視線を宙に漂わせている。
「凄いな」
ジョイは目を細めて満足そうに笑うと、服を脱ぎ始めた。
「じゃ、俺はササハラのとこに行くよ」
バベルはベッドルームのドアを開け、ジョイの愛撫を受け始めているカイルに目をやった。
-今度はもっとゆっくりやろうな。

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