128.5.マーク

ノーマルとは言ったものの、セックスにタブーはないと思っているし、色々なプレイを楽しむのは、むしろいいことだと思っているわけで―
-抵抗はないんだけど、恥ずかしいんだよね~。
 しかも、Hの一環ってわけじゃないのが余計にさぁ。

大量のビールのおかげで少し膨らんでいる下腹部をさすりながら、ヒメマルはまたひとつ溜息をついて、浴室に入った。

一度シャワーを浴びて水滴を纏った全裸のブルーベルが、浴槽のへりに腰かけている。
「出そう?」
「押したらマズイって感じだね」
「このへんから、かけてくれたらいいから」
ブルーベルは、自分の首元から鎖骨の辺りを撫でた。
「背中の方もね」
「…そんなに出るかなあ…」
「まだビール残ってるだろ、補充しろよ」
言いながら、ブルーベルは空の浴槽に入った。
「ここ一杯に溜めて、浸かるのが一番なんだろうな」
-ベルって、すごいこと言うなあ…
ヒメマルは、半ば感心すらしている。

「ヒメマルも、こっちに入って」
「そこでするの?」
「そっちじゃ、流れちゃうだろ」
「…そだね…」
「こっちなら、栓しておけば溜められるし。もし少なくても、あとで寝そべって塗りたくっちゃえばいいし、無駄がないよ」
「…」
ヒメマルは、驚くのをやめることにして浴槽に入った。

ブルーベルは、立っているヒメマルの正面に膝をついた。
「いつでもいいよ」
「…そう言われると、なんだかなぁ」
ヒメマルはビールと照れで染まった頬を、更に赤らめた。
「早く」
「う~ん…ちょっと、…目、閉じててくれる?」
「うん」
ブルーベルは笑顔になって、目を閉じた。

首筋に熱い飛沫が放たれはじめ、それはすぐに流れ落ちるほどの量になった。

滴り続ける液体を、両掌で身体の前面に塗りつけるようにしていたブルーベルは、放出を続けているヒメマルに背中を向けた。
首から肩、肩から腰へと温度が伝わりきった所で、ヒメマルの溜息が聞こえた。

肩越しに、首だけで見上げると、
「ごめん、打ち止めみたい」
ヒメマルは照れくさそうに笑った。
「補充した方がいい?」
「どうだろ…これだけかかってたら、大丈夫だと思うけどな」
ブルーベルはヒメマルの方へ向き直ると、浴槽の底に僅かに溜まった液体に掌を浸して、ローションのように腕に塗りつけた。

「あとは、普通に洗っていいの?」
浴槽のへりに軽く腰をかけて、ヒメマルが訊いた。
「うん。でも、10分以上おいた方がいいって言ってた」
「10分かぁ」
「つきあってくれるだろ?」
ブルーベルは膝をついたままで、ヒメマルの太腿から腰に腕を回した。
「うん、そりゃ…わっ」
ヒメマルは慌てた。
ブルーベルが、まだ濡れている先端を口に含んだからだ。
「ベル、洗ってないのに」
「ちょっと固くなってる」
ヒメマルの言葉を無視して、ベルは肉茎に唇を這わせていく。
「…ぅ…」
腰の力が抜けて、ヒメマルは思わず目を閉じた。

ブルーベルの唇が、ヒメマルを包み込む。
指先と、掌と、腕が、ヒメマルの脚の側面から腰までを柔らかく抱きしめるように撫でながら、唇の動きに合わせて、ゆっくりと往復する。
やがて完全に屹立したそれの裏側を、尖った舌先で根元から一気に舐めあげると、ブルーベルは動くのをやめた。

ヒメマルは、大きく息をしながら薄く目を開けて、ブルーベルを見下ろした。
ブルーベルは、少し遠慮するような瞳で見上げている。
「ヒメマルの臭い」
ブルーベルは熱くなっているヒメマルの中心に、頬を押し付けた。
「俺の中にも、つけてくれるだろ?」

ヒメマルは、カケラのような自制心を、ゆっくりと振り落とした。

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