49.5.香
「眠らせてくれないなら帰るよ」ブルーベルはロイヤルスイートのドアを半開きにしたまま、そう言った。
「ん~、朝までとは言わねえよ。」
キャドが頭を掻く。今日は部屋の中に他の2人はいない。
「入りな、落ち着かねえ」
ベルがドアを閉めると、キャドはその腕を強く引いて唇を重ねてきた。
「…ん…っ」
頭と腰を強く抱かれて、動けない。
胸元から上がってくる、コロンらしき甘い匂いが鼻孔を突く。
-知ってる。
キスしたまま、キャドの指はベルを裸にしていく。
-どこかで嗅いだ?
前に寝たことのある男…が、つけていたものと同じ…?なのだろうか。
毛足の長い絨毯に脱がしたローブを広げるように敷くと、キャドはその場に身体を倒してきた。
唇を貪りながら、少し乱暴に胸元を弄る。
指先が突起を見つけて、苛め始めた。
「…っ…は」
唇を解放すると、そのままもう片方の突起を舐る。
昨日は入れられるだけだった。
初めて受けるこの男の愛撫は、どこか攻撃的で、動物的な-
-あ?
何かが一瞬、頭を掠めた。
…いや、…?…
はっきりしない。
しばらく乳首を責められた後、裸に剥かれた下半身を、大きく開かせられた。
例の高級なオイルをたっぷりと塗られる。
-ほとんど前戯してないじゃないか。
思いながらも、ベルは躯を捻った。
「…後ろから…」
正常位の状態でカタチの相性がいいらしい-から、いきなり正常位で犯されると、多分すぐに失神してしまう。
キャドはオイルだらけの股間を撫で回しながら、
「四つん這いになりな」
笑いを含んだ声で言った。
ベルがその通りにすると、腰を掴み、いきなり一気に突き入れてきた。
「…ッひ!」
電流のような痛みが鋭く頭に抜ける。
粗野な性格がそうさせているというよりは…この男にはサドっ気があるらしい。
躯が開ききっていないのに、キャドは腰を使い始めた。
「いッ、っぐ、…う、ン」
脂汗が出る-が、
「あッ、!?」
不意に、あの異様な快感が走った。
-正常位の状態で、丁度カタチが合ってた…から、じゃ-
「ひっっや、ふぁ、ヤぅ、うあ、あァア!!」
大声をあげはじめたベルの背中に、キャドが躯を重ねてきた。
鼻を擽る甘い匂いと、
それから-
-そうか。