27.告白

次の日はブルーベルの復調とティーカップの転職の為に、午前中は自由行動をすることになった。
特に行く所もなくやることも思い付かなかったトキオは、ギルガメッシュでひとり飲みながら昨夜のイチジョウの言葉を思い出していた。

「あ、あいつ、イチジョウより年上なのか!?」
「訊いてみたことはありませんが、少なくとも年下じゃないですね」
「な…なんでわかんの?」
「立ち居振舞いでわかりますよ」

多少は上かも知れないとは思っていたが、イチジョウより年上だとは考えてもみなかった。
エルフだからわかりづらいのかとも考えたが、そうではない。
ティーカップの行動を見ていると、年齢がよくわからなくなるのだ。
-年相応に落ち着きとかありゃあ、俺だってもうちょっとなー
と、言い訳じみた理由づけをしてみる。
普段から年上に対する言葉づかいに気を配る方ではないが、そこまで年上の者をお前呼ばわりしてたのかと思うと、さすがにばつが悪い。


1人で酒場に入ってきたイチジョウが、トキオのテーブルまで歩いてきた。
「ご一緒していいですか?」
「もちろん」
イチジョウはビールを頼むと、トキオの正面に座った。

自然と、話題は転職しに行ったティーカップのことになった。
「午前中で帰って来られるといいですね」
「転職って、そんな時間かかるもんなのか?」
「転職自体はそんなにかからないようです。でも、ロードになるならまずGにならなくちゃいけませんからね。下手をすればいつまで経っても転職出来ませんよ」
「あ、先に属性変えに行ってんのか!」
「ササハラ君が、マーフィーを使うのが一番だと言ってましたから、ティーにもそう伝えておきました。今ごろ玄室でガタガタやってますよ」
イチジョウは大笑いすると、ビールを飲みほした。
*
ヒメマルは朝一番にブルーベルを見舞った後、ウィンドウショッピングにいそしんでいた。
カイルにあの莫大な取り分を伝えたら、
「半分は紹介料だ」
と、ヒメマルに返してきたのだ。
どれだけ断っても受け取ってくれなかったので、ありがたくいただいた。
-こういう時こそ衝動買いに注意しなくちゃあ。
というわけで、あちこち見て回っている具合である。

「あの…すいません」
めぼしいもののチェックを終えて、ギルガメッシュへ向かう道で、後ろから声をかけられた。
振り向いてみれば、家族思いのGくんだ。
「こんにちは」
「あー、えーと」
そういえば名前を訊いたことはなかった。
「あの、…アインです」
「あ、…うん、そう。俺はヒメマル」
「知ってます、あの」
「?」
「今、おつきあいしてる人、いますか」

-えぇ!?

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