6.5.識別料
ロイヤルスイートの一室。
シキ(ビショップの名前だ)の問いを肯定したトキオは、「それなら"肉体労働"でどう?」という誘いに乗った。
訓練所に入って以来ずっとそういう機会がなかったし、識別料がチャラになるし、こっちがタチでいいと言われたら、
-頷くよなあ。
…と、タチ専のトキオは思う。決まった相手がいない時はよく遊んでいる方なので、こういったことには抵抗感がない。
それにしても-と、トキオは部屋を見回した。シキはビショップとしての経験は浅いという。何故この豪華なロイヤルスイートに泊まるような余裕があるのか、不思議に思って聞いてみた。
「あぁ、パトロンいるから」
「はぁ!?」
トキオは思わず驚きと呆れをないまぜにしたような声を出した。
ロイヤルスイートに泊っているパトロンなら、ほぼエリートクラスだ。そうでなくても、トキオがかなうわけもないベテランに違いない。しかもEのパトロンなら、Eだろう。
いざという時にいきなり入って来られたら…とんでもない慰謝料を請求されるか、下手をすれば殺されて、地下に捨てられかねない。
「あ、なんか心配してる?大丈夫だって、美人局じゃないよ。三日は帰ってこないし、こういうことやってんのも知ってるから」
シキは平然とそんなことを言う。
-…どんなパトロンだよ。それほどこいつに惚れてんのか、それとも変わった趣味の持ち主か?
独占欲が強めのトキオには、全く理解出来ないことだった。
「ウダウダ言ってないで、はじめようぜ」
シキは、慣れた手つきでトキオの服を脱がせはじめた。
*
シキの身体はビショップらしく細身で、普段大きな男ばかり相手にしているトキオは「骨折っちまうかも」と半ば本気で思った。実際に抱いてみると意外にしなやかで、体重も軽い為にこちらの思うように動ける。
この手の体格は好みではないけれど、これならたまには悪くない。
ローションを大量に使っても入りづらいことが多いトキオの物も、シキの身体はぬるりと咥え込んだ。
こんな風に誘ってくるだけあって、相当慣れているようだ。柔らかいのに締まりがいい。
「う…ぁ、おっき…」
息を吐きながら、シキが微かに言う。
「彼氏のには負けてんじゃねえの?」
ゆっくり動かしながら言ってみる。
シキは薄目を開けて、口の端で笑う。
トキオは半分ほどしか入れていなかったそれを、根元まで沈めた。
「んゥッ!」
喉で詰まるような声を聞いてから、激しく出し入れする。
「ンァ、あぁ!アア、あああッあっッ、ひッうあァッ、アっ!」
シキは大きく身体を広げて声を上げる。
張り詰めて反り返っている中心を、軽く握って擦った。
「んっぁ、だめ、それ」
シキは頭を振って、トキオの肩を弱く押してくる。
「触ったら、すぐ出るっ、から、まだ、」
トキオは笑って、手を離した。
そのまま何度か体位を変え、シキも自分も十分楽しんだろうという頃合で、トキオは再びシキの股間に触れる。
「あッ…ヒッ、だ、…で、出る…ッアぁう!!」
シキが腹の上に白濁を巻き散らすのと同時に、トキオも中へ注ぎ込んだ。