3.街外れ
「なぁなぁ、トキオも男好きなんやろ、どんなタイプが好み?」迷宮の入り口に向かう途中、クロックハンドがいきなり聞いてきた。
本当にこのパーティは全員そういう趣味の男ばかりらしい。
「俺は…、ガタイ大き目で、ダチみたいな付き合いの出来る奴かなぁ」
「ほな、ティーカップとか?」
冗談にしてもシャレになってない、と言おうとした時、
「君の好みはどうなんだ、カッパ君」
ティーカップが遮った。
「カッパて言うなて言うてるやろー!」
どうやら彼はティーカップに最初からカッパ呼ばわりされていたようだ。よくパーティを組む気になったものである。もしかするとカッパ呼ばわりを楽しんでいるのかも知れない。
「俺は、きっぷのええアニキタイプが好きやな。自分はどうなんな」
クロックハンドはティーカップに話を振り返す。
「僕か?僕は、僕が大好きだ。」
胸を張ってそう言ったティーカップを、ブルーベルがチラリと見上げた。
それに気付いたクロックハンドが更にブルーベルに聞く。
「自分は?好みのタイプとか」
「…別に」
ブルーベルは、大して興味もないという風に静かに返す。
「そうかー」
クロックハンドは振り向いて、トキオに
「物静かなやっちゃなあ」
と言った。
「まあ、ベタベタすんのが嫌いって奴、Eには多いし、質問も直球すぎるからな」
「それもそやな」
クロックは笑った。
「Gやないし、心通じ合う友情パーティとか目指すわけちゃうやろから、そんなに喋る必要もあらへんかも知れんけど、ちょっとさびしいわあ。ネタが違たらもうちょっと喋ってくれるやろかね」
トキオにしても、あまりに無口なタイプはどう扱っていいかわからない。クロックハンドぐらいとまではいかなくても、多少饒舌なぐらいの方が付き合い易い。
「でもお前、2、3人分くらいひとりで喋りそうだよな」
「あー、丁度つりあいとれるてか。それもそうやなぁ。任せといてや」
こいつと話してると緊張感薄れていいな、と、トキオは思った。
他のメンバーもそう思うかどうかは別として。